育児の時間は本当に取れるようになる?〜会社員とフリーランスSEの違い〜

会社員とフリーランスSEの違いについてメリットとデメリットを述べたいと思います。

※このサイトにおけるフリーランスSEの定義については以下を参照ください。

フリーランスとフリーランスSEの違い

 

そもそもとして、「本当にフリーランスSEになると育児の時間が取れるようになるの?」という疑問に合わせて書きたいと思います。

時間は取れるようになるのか?

これは2つのパターンで変わります。

今の会社で残業や休日出勤はほとんどない人

こういう人は

育児をする時間が絶対的には増えない

です。

 

これはどういうことかと言うと、フリーランスになると本業の仕事以外にもやることが増えます。

それは例えば、保険や年金の手続きであったり、今の時期だと確定申告の準備などがあります。

普段から帳簿を付ける癖は付けておいた方がいいですし、会社員の時のように仕事だけしてれば良いということにならないからです。

 

「じゃあ、時間ないんじゃん」と思うでしょうが、

僕の言う

「フリーになることで育児をする時間を増やす」

と言うのは、

「主に突発的な出来事に対応できる時間を増やす」

ことを言います。

 

僕の挙げられるケースとして具体的には

  • 子どもが熱を出して、保育園を休む際に看病する時間
  • 子どもが熱を出して、急遽お迎えに行かなければいけない時間
  • 平日の保育園のイベント

こういったものです。

 

僕が会社員だった時は、自分のマネジメント不足も否めませんが、立場上どうしても仕事を優先しないといけないシチュエーションが多かったです。

それだと、どうしても上記のような家族優先のイベントが発生した時に思うように動けません。

今フリーとして働いている現場は「自分がいないと絶対にダメ」という状況にならない所を選んでいるため、家族を優先にしても問題にならないようにできています。

 

そのため、「今の会社でもそれくらいは出来るよ。」という人は、育児において客先常駐のフリーになるメリットはあまりないかも知れません。

そのような会社であれば、大抵残業も休日出勤も少ないと思いますので・・・。

 

さらに言うと、共働きで保育園に入れているパターンを想定しているので、「共働きでない場合」や「そういった突発的なイベントは祖父母等の助けが借りられる」という人であれば、よりフリーのメリットは下がります。

 

こういう方で、より育児の時間を増やすためにフリーのメリットを狙うのであれば、

①リモート案件が取れる自信がある

②週3や週4案件の収入でも十分生活出来る

という人になるかなと思います。

ただ②で良いのであれば、時短勤務にするという選択もあるので、わざわざ育児のためにフリーにならなくても良いかもという感じはします。(法律として時短可能なのは3歳未満までです)

 

今の会社で残業や休日出勤が多い人

こういう方は、上記の「突発的な出来事に対応できる時間を増やす」という要素も含め、育児の時間がかなり増やせる可能性があるので、フリーランスSEへの検討の価値があります。

フリーランスは案件が選択できるので

  • 勤務地が近い所
  • 安定稼働している現場

を条件に探すことで、自分の時間を増やすことが可能です。

実際自分もこの条件で探し、残業と休日出勤は0、通勤時間も往復で−40分に出来たので、育児が出来る絶対的な時間も増えました。

 

ただし、週5で働くことに変わりはないですし、加えて本業以外のやることもあるので、「圧倒的に増えるということはない」ことは覚えておいてください。

残業が毎月80時間以上あるとかいう人は、圧倒的に増えると思いますが(汗

 

会社員との違い:客先常駐だが、裁量は基本的に自分にある

あくまでも現場で仕事をしているというだけで、その会社の社員というわけでは当然ありません。

したがって、勤怠管理なんかもされる必要はないし、むしろされてはいけません。

現場との信頼関係を築くのは大事ですが、無理な要件は断ったり、納期を伸ばすことは可能です。
この辺はいわゆる交渉事に近いです。

休みも必要があれば「休みます」と言って構わないのです。(もちろんその分収入は減ります)

完全在宅に比べると自己裁量率は下がりますが、それでも会社員に比べて自分の思う通りに予定が組めるのが、この働き方の良いところです。

 

また、これが叶わない現場で、契約時と話が違う場合はエージェントを通してクレームを言うことも可能です。
(逆に言えば、契約前にきちんとその旨は伝えておかなければいけません。)

最悪は、早く契約を切って次を探せば良いということになります。

 

上でも同じことを書きましたが、「今の会社でもそれくらいは出来るよ。」という方は、育児において客先常駐のフリーになるメリットはあまりないかも知れません。

 

会社員との違い:その他

収入が上がる

元々の収入がどれくらいかによりますが、基本的に収入は上がります。
(と言うか、上がらないと後述する負担増に耐えられません。)

例えば、月収が25万〜30万程度の人がいた場合

  • 勤務地が近い所
  • 安定稼働している現場

という条件で探しても、倍程度にはなるでしょう。

大体60万〜65万くらいが現在の相場です。

逆に言うと最低でも倍近くは担保しなければいけません。

 

健康保険料が倍になる

会社員は労使折半という形で、健康保険料は半分会社が負担してくれます。

フリーランスSEは雇われている訳ではないので、当然労使折半という概念は存在しません。

なので、厳密に言うと倍になるのではなく、全額自己負担になる(から結果倍になる)ということになります。

 

 

国民健康保険の保険料が高い

まともなIT企業であれば会社員は組合の健康保険(以下、組合保険)に加入していると思います。

フリーランスSEは組合保険には入れないので、原則、国民健康保険(以下、国保)に加入します。(※原則なので、国保以外に入る方法もあります)

 

組合保険は被保険者の収入に伴って保険料が上下しますが、国保は被保険者だけではなく世帯の収入で計算されたり、扶養者がいると保険料が上がったり、正直組合保険よりかなり待遇が悪いです。

また自治体によって保険料に差があるので、保険料が高い地域に住んでいるとそれだけで損な感じがするので、前もって調べておいても良いと思います。

 

しかしながら所得が低い場合、逆に組合保険より保険料が安くなる場合もあるので、一概に国保の方が高いということにはなりません。

が、フリーランスSEになると経費が少ない かつ 案件さえ決まれば安定的に収入が入るため、大抵の人は所得が増えて高くつく場合の方が多いはずです。

 

傷病手当金がない

会社員であれば、4日以上病気で欠勤すると健康保険から傷病手当金が出ます。

もちろん、フリーランスにはありません。

会社員はこれがあるので、CMでもやっている「就業不能保険」なんて、正直言って基本的にいらないだろと思っています。

 

厚生年金には加入できない

厚生年金は会社員のための制度なので、フリーランスは加入できません。

これに加入できないとなると、以下の2点について他の対処方法を検討する必要が出てきます。

 

①老齢年金の減少

会社員は「国民年金+厚生年金」という構成で年金制度を活用します。

フリーランスは「国民年金のみ」となるので、当然老後の年金支給額は減ります。

ただ、多くの方が年金制度に不安を示しているように、僕達20代〜40代の現役世代が、老後に年金のみで生活していくことはほぼ不可能です。

会社員にせよフリーランスにせよ、年金以外の資産形成を考えることは必要不可欠になっているので、ここはそこまで大きなデメリットに感じてはいません。

 

②遺族年金、障害年金の減少

①よりむしろこっちの方を考えた方が良いです。

年金と言うと、老齢年金のことばかりクローズアップされますが、死亡時、または障害を負って働けなくなった時の保証もあります。

これも老齢年金と同様に支給額の減少や、条件次第で全く出なくなる場合もあります。

 

子どもがいなければ、そこまで神経質にならなくても良いと思いますが、子どもがいる場合は対策した方が良いと個人的には思います。

 

ちなみに僕は民間の保険に入りました。

厚生年金保険料を払っていた分のいくらかをこちらに回す感覚なので、負担が増えるといった感じはありません。

 

有給休暇はない

当たり前ですが、雇われていないので有給はありません。

休めばその分収入は下がると考えてください。no-work no-payの精神ですね。

ただ、これは考え方と契約形態によりますが、フリーランスSEは「最低この時間だけ働いてください」というような契約が多いです。

一番多いのは「140時間〜180時間」という契約形態です。
この中で140時間を“下限”、180時間を“上限”と言ったりします。

下限を下回れば、契約金額から報酬を控除(下げる)し、上限を上まわれば報酬を追加する。ということになります。

つまり最低140時間働けば良いので、8時間で20日/月働くと160時間ということで、大体月に2日は休んでも問題ないということになります。

 

育児休業や慶弔休暇もない

雇用保険に入っていないのでこれも仕方ないです。

なので、今後近い内に子どもを産む予定があり、育児休業を取りたいと考えている方は、フリーランスになってはいけません。

 

大抵の会社は慶弔休暇もあると思いますが、これもフリーランスには関係ありません。

 

家賃手当や通勤手当、ボーナスなどもない

わざわざ言うことでもないですが、このような各種手当・ボーナスといった概念も存在しません。
個人事業主ですから。

 

社会的な信用がなくなる

会社員と違って社会的な信用は著しく減るので、家などをローン組みたい人は会社員の内に組んだ方が良いと思います。

ただ、ローンを組んだ後にフリーランスになることが良いことなのかどうかは分かりませんが…。

ちなみに賃貸契約については、以下が参考になるかも知れません。

引越した – より快適な賃貸を求めて。フリーランスでも部屋は借りられるのか?

 

確定申告をしなければいけない

サラリーマンであれば特定の人を除いて、会社が年末調整してくれるので、確定申告は必要ありません。

しかしフリーランスは確定申告をする必要があります。これは義務なので仕方ありません。

丁度今の時期に準備をしていますが、本当に大変です。

当日もかなり待たされますし、休みの日は潰れるし、非常に面倒だなと感じてます。
(e-Taxとか使えばそこら辺は解消されるかも知れませんが、やったことないので分かりません。)

また、基本的に青色申告をするのですが(じゃないと税金の取られ方が半端じゃない)、これが簿記の知識が必要となり、簿記を全く知らないと見ただけで面食らいます。

ある程度勉強も必要ですが、下記も参照いただければと思います。

はじめての確定申告

 

個人事業税という税金が増える

フリーランスになると、前年の所得に従って、個人事業税という税金を払う必要が出てきます。

…個人的には「これ、働き方差別じゃない?」と言いたくなりますが(差別と言うと語弊があるかも)、法律で定められている以上払わないといけません。

ちなみに、年間で所得が290万以下なら払わなくても大丈夫ですが、週5で働くフリーランスSEで所得が290万以下というのは、「年に働いたのが半分以下」とか「ものすごい経費を何かに使った」とかでない限りなりません。

人によりますが、10万前後は払うと思った方が良いでしょう。

<2019/10/09 追記>
客先常駐型のフリーランスの場合、働き方が会社員と同じとみなされ、自治体によって(かは分かりませんが)は個人事業税が課税されない可能性もあります。

 

まとめ

こう見るとデメリットの方が目立ちますが、代替手段があったり、そもそも人によってはデメリットではなかったり、メリットの方が大きいのであまり気にならないといったものもあると思います。

僕はITエンジニアは、絶対にフリーランスSEになった方が良いとまでは思いませんが、人によっては、その方が好ましい場合もあるかと思っています。

 

また、あくまで“今の自分の生活に合った働き方”を考えることが重要なので、「今後一生フリーランスでやっていく」という覚悟もいらないと思います。

例えば子どもが大きくなって、手があまりかからなくなったら「いずれは会社員に戻ることも視野に入れる」でも全然良いと思いますし、僕はそう考えています。

 

幸運にもITエンジニアはそれが可能な職種なので、1つの選択肢として考えてはどうでしょうか。

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ABOUTこの記事をかいた人

子どもが産まれたことをきっかけに働き方を見直し、フリーランスSEになった30代の父親。 埼玉県某市在住。 妻と娘(5歳)とペット(フェレット)で、日々悩みながらも楽しく過ごしています。